子どもへのまなざし

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久しぶりに感動した本です。

出産前、某巨大掲示板で育児書のオススメを調べていたときに、松田道雄さんの育児の百科と並んで推薦する人が多かったのですが、一方で、批判の声も意外と多かったので保留したまま忘れていました。

 

旦那から、この本いいらしいねと言われてふと思い出し読んでみて、とにかく感動。

なんだろう、自分が子どもの気持ちになって読んでいたのかもしれないのですが、

こんな風に育てられたらほんとうに幸せだと心から思えました。

 

批判の内容は、理想論すぎる、育児に行き詰っているときに読んだら親がおいつめられる、というようなものでした。

余裕がないときに読むと、責められているように感じるのかもしれないですね。

でも、筆者(児童精神科医で父親)の語り口はとても優しくてあたたかくて、

もしうまく育児ができていないからといって親を責めるような気持ちはないと感じました。

むしろ、うまく育児できない親も、自分自身が子どものときにうまく育児してもらえてなかったという意味で、やっぱり守るべき、癒すべき存在なのだというように言っています。

 

一貫して主張しているのは、子どもの心を満たしてあげなくてはいけないということ。

子どもが要求することはできる限り満たしてあげる。

過保護などとよくいいますが、要求することをすべて満たすことがどれだけむずかしいかを考えれば

過ぎることなどありえないとわかるはず。

そして、はやいうちに心が満たされる経験を積んだ子はだんだん要求が減ってくるといいます。

過保護でだめになる子はいない。この言葉はしつけに悩む母親には福音だと思います。

いわゆるだめになるといわれる過保護という言葉は過干渉の間違いで、

干渉というのは子ども本人の望まないことであり、保護とはまったく別物。

これはしっかり頭にいれておかなければと思いました。

 

3歳児神話を、今時、などと笑う人もいますが、

3歳までを上手に育てたら、そのあと大きな問題がおこりにくいということなのだと思います。

問題がおきてからそれを直すのはとても大変で、もしかしたら直せないかもしれない。

だからこそ3歳までを、しんどくても大変でもしっかり向き合って育てたほうがいいですよと。

 

本書の書き出しに、乳幼児期の育児を建築にたとえている部分、とてもわかりやすいと思います。

乳幼児期が土台、基礎で大学やら就職先なんていうのは内装やカーペットみたいなもの。

土台がうまくいっていないとなると簡単には直せないけど、内装は簡単ですよね。

そして、土台をつくる人にはスポットはあたらないけど、ものすごく重要な仕事だということは異論がないはずで、

今乳幼児期の育児をしている人に誇りをもってほしいという言葉。

とかくお金を稼ぐ仕事をしている人がえらいと思われがちな風潮のなかで

母親という仕事を正当に評価してくれている人がいる。この事実は励みになります。

4月は育休が終わって仕事にもどるママがとても多く、育児に専念するママたちは取り残されるというような漠然としたもやもや感を感じたりもしがちですが、子どもがママを必要としているくらい必要といってくれる職場なんてそうそうないですよね。少子化対策は待機児童ゼロなんかじゃない、ママという職業に誇りをもたせる教育なんだと心から思います。そして誇りを持つに値すると心から思うのです。

 

素直にうなづけないという人には、ぜひ自分が子どもの立場のつもりでこの本を読んでみてほしい。

育児にいきづまる人は自分が満たされない乳幼児期を過ごした可能性が高いと思うのです。

だから自分が子どものときにこんな風に育てられたらどうだったろうとこの本を読みながら追体験してほしいのです。そうしたら自分の子どもにはそういう体験をさせたいと思えるのではと思いますし、

なによりそうすることで少しでも自分の中の満たされない子どもが癒されるのではと思います。